「フィリップス・コレクション展」

こんにちは。

気づいたら2月になってました。

今年も残りわずかですね。

 

今回は、私のイチオシ展覧会

三菱一号館美術館で開催中の

「フィリップス・コレクション展」

フィリップス・コレクション展|三菱一号館美術館(東京・丸の内)

について書きたいと思います。

 

フライヤー↓

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モ■ に笑いました。

 

 

この展覧会、私は2回も行ってしまいました。

美術系の展覧会はちょこちょこ行くんですけど

2回も行くことはあまりないです。

今回は、出展作品の中に

もう一度見ておきたい!!と思う作品がありましたので。

その作品については後ほどご紹介します。

 

 

 

どんな展覧会?

 

ダンカン・フィリップス(1886-1966)は、アメリカで最初の近代美術館の創設者です。

 

コレクションの中には、ゴッホや、ピカソセザンヌなど、超大物美術家たちの作品が所有されています。

 

過去にも日本(確か六本木の国立新美術館)でフィリップス・コレクション展が開催されていたらしいのですね。

しかしながら、私は今回初めてフィリップスさんのことについて知りました。

西洋近代美術の世界では有名人なのかもしれないですね。

 

今回のフィリップス・コレクション展は、彼の蒐集方法に光を当てているそうです。

 

 

展覧会では、もちろん個々の作品の素晴らしさも目を見張るものがありましたが、最も印象的だったのがダンカン・フィリップス自身が作品のひとつひとつに対して語った言葉でした。

 

会場の至る所に展示作品と呼応するように

彼の作品に対する思いがつづられたパネルが展示されています。

彼がどんな思いで作品を手に入れ、どんな思いで作品を見ていたのか

そういった彼の思いの丈が伝わってきます。

 

作品についての言葉はかなり抒情的ですが、

その本質を的確に捉えたものばかり。

美しく紡がれた言葉の端々に

作品と作家への熱い思いが見え隠れしてるようでした。

 

 

注目の作品

 

ダンカン・フィリップスはある作品を手に入れるために、手元の作品を手放すこともありました。

作品を売却して得たお金で新たな作品を購入していたんですね。

 

 

彼のコレクションの方針を考える上で非常に興味深い作品が展示されていました。

 

ゴーガンの《ハム》という作品です。

 

 

フィリップス・コレクションが所有する唯一のゴーガン作品です。

 

ゴーガンの絵画というとどんなものを思い起こしますか?

明るい光と鮮やかな色彩に溢れた画面の中に裸婦像を描いたタヒチ時代の作品のイメージが強いのではないでしょうか。

例えばこんなの↓

 

 

 

 

 

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Eugène Henri Paul Gauguin Eu haere ia oe? The Hermitage, St. Petersburg

注意:この作品は展示されていません

 

 

しかし、今回の作品は静物*1なんです。

まあ、そんなことは作品タイトルでなんとなくわかりますよね。

こちらです↓

 

 

 

 

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ポール・ゴーガン《ハム》

 

22.*2ポール・ゴーガン《ハム》

1989年、カンヴァスに油彩、50.2×57.8㎝

 

画面中央に金属製のテーブルが描かれており、その上には大きなハムと水の入ったグラス、そして数個の小さな玉ねぎ?がのせられています。

フィリップスは本作を手に入れるためにゴーガンのタヒチの風景画1点を手放したそうです。

タヒチ時代の作品以上にこの作品に大きな価値を見出していたのでしょうね。

 

静物画は西洋絵画における伝統的なジャンルの一つ。

近代では、セザンヌが熱心に静物画の制作に励んだことが有名です。

しかし、ゴーガンは生涯に数点しか静物画を制作しませんでした。

そういった意味でも貴重な作品ですね。

 

本作はフランスのブルターニュ地方にあるル・プルデュで制作されました。

ゴーガンが総合主義*3を取得した場所です。

本作もゴーガン作品に特徴的な鮮やかな黄色で背景が描かれています。

テーブルとその上の食物には奥行きが感じられる一方で、ほぼ黄色で塗りつぶされた背景は平面的で空間を感じさせません。

 

壁の一部なんでしょうか、茶色の色彩の帯が背景を縦断しています。

この色彩帯、黄色の背景を大胆に分割していてより一層装飾性強めているように感じられます。

ゴーガンはこうした静物画の制作を通して平坦で装飾的な画面構成の獲得に励んでいたんでしょうか。

 

にしても、唯一のゴーガン作品が静物画とは、、、

フィリップスのこだわりを感じました。

 

 

ゴーガン以外にはブラックの作品がたくさん出ていたのが印象的でした。

フィリップスはブラックをかなり高く評価していたようで、思い入れの強さが感じられました。

 

 

 

おすすめ作品

おすすめの作品はたくさんあるんですが、

これだけは紹介させてくれ!っていうのが

 

近代美術の巨匠、ピカソの彫刻作品です。

著作権の心配があるので残念ながら画像はなしです…)

この作品を見るために2回目を見に行ったと言っても過言ではない。

 

33.パブロ・ピカソ《道化師》

1905年、ブロンズ、41.0×35.6×21.0㎝

 

肩から上だけの小さな作品です。

等身よりやや小さいでしょうか。

 

この作品を初めて見た時の私の感想は…

 

 

 

 

(ひえっ…)

ピカソ、まじでやばい。」

 

でした

 

 

実際、一緒に展覧会行った友人にやばいよって言いました。

友人もやばいねって言ってました。

ピカソやばいよまじでやばいよやばいよ…

 

 

とは言ってもパッと見はとても地味な作品なんですよね。

 

ブロンズ作品なので色も一切ついていないですし。

 

 

おそらく、男性像でしょうか…

ピエロがよくかぶってるトゲトゲの帽子わかりますか?

先っぽが尖ってる飾りがいくつもついてる帽子を被った男性像です。

説明下手ですみません。

 

この帽子、それ自体が滑稽で面白いんですよね。

道化師のコミカルな表向きの性格を象徴しているようです。

 

一方で人物の表情はとてもおとなしくて、そして静か。

 

 

ピカソは週に数回、モンマルトルのメドラノ・サーカスを訪れ、1904年には自身の作品にサーカスの出演者を取り入れるようになっていました。

ピカソは舞台裏で出演者と共に多くの時間を過ごしていたようです。

 

この人物は、出番が終わった、あるいは出番を待つ出演者のなのでしょう。

演者としての人格、

そして

一人の人物としての人格

が対比的に表現されています。

 

この人物の表情、私はどこか憂鬱な雰囲気を感じました。

哀愁を帯びているというか…

静謐で崇高でもあるような…

 

人物の内面までも表現する描写力

私が感じたピカソのやばみってそういったところにあるんでしょうね。

 

 

さて、今回はたった二つの作品についてしか紹介できませんでしたが、

これを読んでフィリップス・コレクション展行ってみたいなと少しでも思ってもらえたら幸いです。

 

まあ、このブログ自体が自分用メモのようなものなので、

高望みはしませんが。

 

 

 

ちなみに撮影OKコーナーもありました。

SNSに載せちゃおう!!

 

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複製作品が数点があり、皆さん写真撮ってました。

こういうコーナーがあると無駄に撮りたくなるよね。

 

左がピエール・ボナール

中央がフランツ・マルクでしょうか…

 

美術館の内装も素敵ですよね。

レンガ造りでおしゃん。

 

 

 

最後にグッズ情報を…

 

 

 

グッズ情報

 

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展覧会の一番の楽しみはグッズですよね。

今回私は、クールベとゴーガンの作品のポストカードと

シャルダン静物画のチケットホルダーを購入しました。

なんと、今回展示された絵画作品のすべてがポストカード化されています。

お気に入りの絵画があったらゲットしよう!

残念ながら彫刻作品はポストカードになってないものもあります。

ピカソは無かった( ;∀;)

私が気に入った作品ってたいていグッズ化されてないんですよね…

 

 

他にはノートやTシャツ、マグネットなどもありましたよ。

 

 

展覧会グッズ以外にも三菱一号館美術館で売ってるグッズは

かわいくておしゃれなものばかり。

散財しますね。

 

 

美術館は東京駅から徒歩5分くらい。

駅から雨に濡れずに行けます。

 

会期終了まであとわずか!!

今月11日までです。

先週は平日行ったのにかなり混んでました。

でも、いい作品たくさんあったので興味を持たれた方はぜひ行ってみてください。

 

では!

 

 

 

 

 

 

*1:花、食物、楽器、食器など生命のない事物を描いた絵のこと。

*2:作品番号は展覧会カタログに従いました。

*3:輪郭線と明確な形態を強調し、平坦な色面を装飾的に構成する絵画様式。